この記事では、ゴミ屋敷の住人の心理や精神状態を解説しています。

ゴミ屋敷の発生にはそこに住む人の性格心理が深く関係しており、その特徴を知ることが問題の解決において重要です。

後半では、家族など周囲の人ができるゴミ屋敷の対処法もご紹介。

片付けを嫌がる住民を説得する方法や、ゴミ屋敷の片付け業者について解説しています。

なぜゴミ屋敷になるのか、ゴミ屋敷を解消するには何をすべきか、知りたい方はぜひご覧下さい。

ゴミ屋敷住人に見られる心理状態

ここではゴミ屋敷の住人の精神状態と、なぜゴミ屋敷になるのかについて解説しています。

片付ける気力が湧かない

主にうつ病に見られる精神状態です。

うつ病とは、人間関係や仕事からの心理的ストレスによって脳内のセロトニンが減少し、精神が安定しなくなる病気のことです。

この結果やる気が出なくなり、何をするにも億劫になってしまいます。

ただ、うつ状態＝うつ病ではありません。

他の精神疾患の可能性もあるので、必ず精神科で診てもらいましょう。

物を集める気持ちが強い

物を集めるため込み行動は、うつ病、発達障害、認知症など多くの病気で見られる特徴です。

ため込み症と言い、「物を集めるのに価値を見出し、捨てることに苦痛を感じる精神病」である場合もあります。

（※医学的にはため込み行動とため込み症は分類が異なる）

物を集める原因は様々です。

• 不安、焦り、強迫観念
• 物に対する歪んだ愛着
• 「自分には価値がない（＝物には価値がある）」という自尊心の欠如

ゴミを大切な物だと言い張る人や、勝手に捨てると激怒する人もいます。

こちらも精神科など、適切な医療機関に相談しましょう。

環境衛生に関心がない

「汚い部屋でも平気」という性格の人はいますが、ゴミ屋敷の場合、平気ではなく関心がない可能性があります。

これを精神医学ではセルフネグレクトと言い、

• 食事や片付けなど日常生活に関心がない
• 周囲の助けを拒絶する

といった特徴があります。

原因は精神状態の悪化、身体機能の低下、経済的な貧困、認知症など様々です。

その性格上、命に関わるケースが多く、早急にゴミ屋敷を解消する必要があります。

プライドや気兼ねが邪魔をしている

こちらは主に高齢者のゴミ屋敷住人によく見られる特徴です。

何らかの問題で部屋を片付けられなくなっても、

• 人の世話になりたくない
• 子供に迷惑をかけたくない

といった性格心理が邪魔をして、周囲の支援を拒むことがあります。

説得のコツは、話し方と相手目線です。

話し方・・・・高齢の親でも理解できるようゆっくり話して、じっくりと聞く

相手目線・・・片付け業者の費用を心配するなら、「お金の心配はない」と不安を取り除く

「なぜ片付けないのか」と怒っても逆効果なので、注意しましょう。

単純に片付けるのが面倒

フジテレビの報道によると近年は都市部の若者を中心に、

• 仕事が忙しい
• 分別が面倒

といった些細な原因によるゴミ屋敷が増えているとのことです。

ただ、いくら原因が小さくても、ゴミ屋敷は身体・精神状態に大きな悪影響を与えます。

周囲の家族も「本人の性格」と楽観視せずに、早期介入を行うことが重要です。

ゴミを出すのが怖い・恥ずかしい

こちらも些細な原因になりますが、

• 近所の人に分別の間違いを指摘されるのが怖い
• 大量のゴミを出してゴミ屋敷とバレるのが恥ずかしい

といった性格心理が働いて、ゴミ屋敷が発生（または悪化）することがあります。

この場合おすすめなのがゴミ屋敷の片付け業者です。

深夜早朝の作業など、近所にバレない配慮をしてくれる業者も存在します。

ゴミ屋敷を発生させる心理的な要因

ここでは心理的な側面に注目して、なぜゴミ屋敷になるのかの原因を解説しています。

心理的ストレス

孤立、過労、人間関係の悪化など原因は様々ですが、ストレスがある人ほど部屋が散らかりやすい傾向にあります。

中でも孤立はセルフネグレクトや認知症の進行とも直結する深刻な問題です。

例えば関西で不用品回収業を営むA-LIFE株式会社の調査によると、

• ゴミ屋敷住人の8割が50歳以上
• ゴミ屋敷住人の6割が一人暮らし

という住民の特徴が出ており、孤立がゴミ屋敷と深く関係していることが伺えます。

ネガティブなライフイベント

死別、失職、病気など人生で起こる様々な出来事のことです。

不安や喪失感が原因で片付ける気力を失ったり、物を集めることで心の隙間を埋めるようになります。

ただし、ため込み症については、

• 極端に清潔な家庭で育った
• 欲しい物を買ってもらえなかった
• 虐待を受けた

といった過去の出来事が原因で、大人になって発症することもあります。

感情労働

早稲田大学の石田光規教授は、「ゴミ屋敷にしてしまう人は“感情労働”が多いといわれる」と指摘しています。

感情労働とは、肉体や頭脳だけでなく、感情の抑制や忍耐が要求される労働のことです。

具体的には教師や医療従事者、営業職の人が挙げられるでしょう。

石田教授によると、「人と接する時に一定の役割を要求され、がんばりすぎて消耗しきってしまい、家の中まで気が回らない」とのことです。

ゴミ屋敷の住人には真面目な性格や高収入の人が多い特徴がありますが、これには感情労働による精神状態の悪化が背景にあります。

精神疾患

近年の研究では高齢者のゴミ屋敷の30～50％で、何らかの精神疾患が原因にあると判明しています。（※1）

ゴミ屋敷の原因となる精神疾患（※2）は様々です。

• うつ病、ため込み症、強迫症、統合失調症
• 不安症、双極性障害、認知症（※3）ほか多数

このうち物を集めるため込み症はその特徴から、周囲に「怠けている」と見なされがちです。

決して本人の性格ややる気の問題ではないので、必ず医療機関に相談するようにしましょう。

（※1※2東京都健康長寿医療センターの研究による　※3広義においては精神障害に分類）

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2023年04月26日

ゴミ屋敷の心理に陥った人を助ける方法

ここでは家族や親族など、周りの人ができることを解説しています。

物を減らす

物を減らすという行為は、ため込み症のほか、うつ病・認知症・発達障害におけるため込み行動にも効果的です。（※）

片付けには「ストレスや不安の軽減」「幸福感や安心感の増加」といった効果があり、精神状態の回復を見込むことができます。

まずは、本人に捨てても大丈夫な物を聞いてみましょう

物を集めるタイプの人でも、全ての物が大事な訳でありませんし、きれいな部屋が嫌いな訳でもありません。

そうして徐々に部屋を片付けて、スッキリした部屋の快適さが理解できれば、ご本人も物を集めるのを止めてくれるはずです。

（※参照元：プレジデントオンラインHP『ためこみ症を治療する最新手法』）

部屋を片付けるよう説得する

説得では、ゴミ屋敷のデメリットよりも片付けのメリットを伝えることが重要です。

• 心身が健康になる
• 怪我をしなくなる

など快適な生活を想像させて、片付けに意識を向けさせます。

本人に片付ける気力がないならゴミ屋敷の片付け業者を提案してみましょう。

片付けに強い拒否感を示す場合、まずは信頼関係の構築を第一とし、ゴミの話には触れないようにします。

「困りごとはないか」などと尋ねて、相手を気遣う様子を見せて下さい。

無視されても引き下がっては駄目です。日を変えたり、他の親族と連絡を取り合って代わる代わる訪問します。

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2023年12月11日

医療機関に連れて行く

精神疾患や身体疾患が疑われる場合、早めに医者に診てもらいましょう。

精神科に行くのを嫌がるようなら、次の方法がおすすめです。

• 病気への不安ではなく、「あなたが心配」という思いやりを伝える
• 目に見える症状（不眠、吐き気、倦怠感など）を理由に受診を促す
• 内科を提案して、受診への抵抗感を減らす

例えばうつ病は内科でも診てもらえます。

現在は精神疾患に対する認識が高まっており、心の不調が認められる場合は、内科から精神科や心療内科を紹介することが増えています。

家族ではなく医師から精神科を勧められれば、本人も受診しやすくなるはずです。

支援機関に相談する

以下は全国の人が利用できる公的機関の一覧です。

いずれも本人以外の家族・親族からの相談にも応じています。

なぜゴミ屋敷になるのか、その原因を専門家に聞くのもおすすめです。

ゴミ屋敷・汚部屋の片付け業者に頼む

片付け業者なら作業は早くて数時間で終わります。

ゴミ屋敷の住人が「やっぱり片付けたくない」と考えを変える前に、全作業を完了可能です。

部屋のビフォーアフターも劇的なので、住人の心理面に大きな影響を与えることでしょう。

自治体だと収集日にしかゴミを処分できず、非常に時間がかかります。

その間に住人の身体・精神状態が悪化する可能性も否定できません。

例えば東京都健康長寿医療センターの研究によると、認知症の高齢者は1年以内に死亡する可能性が高いことが分かっています。

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